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2021年2月26日

挨拶

子どもの頃よく大人達に言われていた

『しっかり挨拶しなさい』

という言葉。

これは体感なのだが、大人になればなるほどしっかりとした挨拶をしなくなってくる気がする。これはもちろん仕事相手や知り合いに対してではない。

同じマンションに住んでいるだとか、顔は見たことあるけど話した事はないというレベルの人に対しての話だ。

先日、患者さんの往診に行った。

都心の真ん中にある分譲マンションで、今までも何度かお伺いしたことのある場所だ。

いつものように部屋番号を押し、患者さんにオートロックを開けてもらうとちょうどエレベーターの前に中学生くらいの男の子が立っていた。

正直な話、こういう場合どう挨拶していいか一瞬迷ってしまう。

子どもに対して言う『こんにちは』にするのか、または大人に対しての『こんにちは』でいいのか。

知らない大人から急に“大人感”を出されるのも嫌だろうし、かと言ってあまりにかしこまった感じで来られても『いやあんたおっさんだろ』ってなるだろうし、果たしてどっちの『こんにちは』が正解なのか。

なんて考えてたら、その男の子が真っ直ぐな瞳で僕を見てはっきりと

『こんにちは』

と挨拶してくれた。

情けない話、そんなに純粋な『こんにちは』がくると思っていなかったので、気が動転してしまい

『お、うっす』

と、まるで大人とは思えないとてつもなく気持ちの悪い返しをしてしまった。

その後もその子はわざわざエレベーターの扉を自らの手で抑え

『お先にどうぞ』

と先を譲り、

自分の階がきて、エレベーターから降りる時には

『失礼します』

と、わざわざ一礼をして去っていった。

なんて出来た中学生なんだ。

自分が中学生の時にこんなに純粋な挨拶をしていただろうか。

エレベーターから降りるときに『失礼します』なんて、本当に失礼なのはどっちなんだって話だ。

そんな濁りのない透き通った言葉に対してどう返せばいいのだろうか。

お疲れ様です、なのか

または

ご苦労様です、なのか

この瞬間、無い頭をフル回転させ僕が絞り出した言葉は

『いやいやこちらこそ』

今年はしっかり挨拶の出来る大人になりたいと思いました。